TOP > 空き家の利活用事例 > 空き家利活用事例⑥「ヨンロッパ」
●改修第一弾! 産直市の復活「ヨンロッパ商店」
那賀町の木沢地区にある旧保育園の改修・活用が、那賀町地域おこし協力隊員 海老名美希さんを中心に地元の方々と協力して進んでいます。これまでウッドデッキ制作、保育室の天井張り、壁塗り、腰壁作りなどをDIYで実施しました。
元職員室を無農薬栽培野菜専門の産直市として復活させ、「ヨンロッパ商店」と名付けました。ヨンロッパの語源は「ヨーロッパ」。ヨーロッパに行ったことがないであろうここらのおじいちゃんおばあちゃんが「あしたは『ヨーロッパ』行く日じゃ」「うちんく(うちの家)の野菜が『ヨーロッパ』でよぉ売れたわ」などと会話をしている姿を想像すると微笑ましく思えて、「ヨーロッパ」が語呂のいい「ヨンロッパ(468)」に。スタイリッシュな横文字の名前をつけても「読めん」と言われるかも、ということで、親しみやすく呼びやすい名前になったそうです。
●改修のお披露目「改修見学会&お花見」
地元の方々と進めてきた改修のお披露目として「改修見学会&お花見」を平成31年3月末に開催。当日は海老名さんのご友人でもあるデーヴィッド(NY出身・和食ワールドチャレンジ優勝者)と四季美谷温泉中田料理長による地元木沢の食材をふんだんに使用したコラボ料理を、満開の桜の下、約120名の来場者に味わっていただいたそうです。
●都会にはない、山奥の”村”の「宝」を守りたい
徳島県那賀町は自然豊かな高齢化の著しい小さな町。剣山国定公園の奥地には高の瀬峡や剣山スーパー林道などの大自然があり、貴重な野生動植物も見られます。那賀川や坂州木頭川などの清流がつくる大釜の滝、大轟の滝などの景勝地もありますが、町全体でコンビニは2店舗だけ。木沢地区(旧木沢村)は町中心部から車でさらに1時間ほどの地区です。
東京や大阪の外資系企業で働き、フジロックやサマーソニックといったロックフェスティバルにも携わってきた海老名さんですが、都会にはない多くの宝に気づき、それを守りたい、そして地元にあるものの良さに改めて気づく機会を、そして人が集まる場所をつくりたい、との思いから、それまでとは180度違う生活を選び、2017年4月に地域おこし協力隊として那賀町に来たそうです。
●さまざまな交流の場として
ヨンロッパではこれまで元チャットモンチーの高橋久美子さんをお迎えして、県内外や海外からの参加者をお招きした「ゆずこしょう作りと詩の朗読会」をはじめ、さまざまな交流の場として活用してきました。
取材日も、大阪樟蔭女子大学 学芸学部ライフプランニング学科の濱田准教授と学生20名がはるばる訪れ、地元のおばあちゃんと一緒に「ゆずこしょう」「かきまぜ(ゆず酢を使ったちらし寿司)」「そば米汁」などの郷土料理を作っていました。
●「ヨンロッパ劇場」
「ヨンロッパ劇場」と命名した”元お遊戯室”では映画などの上映会も開催しています。県内各地や遠くは東京から来られた参加者は、新しい出会いや交流もあり、上映終了後もしばらく話がつきなかったようです。
●改修第二弾! 念願の「ヨンロッパ食堂」
木沢地区には、小さなコンビニのようなショップがひとつ、外食する場所も一箇所しかないため、地元のおじいちゃんおばあちゃんにも豊富な地元食材をいつもとは違う形で食べていただけて、気軽に寄り合う機会を増やしたい。
そこで改修第二弾! もう1室を“食堂スペース”に改修。名前は『ヨンロッパ食堂』。保育園の雰囲気を残しつつ、厨房、カウンター、大きなテーブル、小さな図書館を兼ねた棚、レコードプレーヤー、そして寒い冬に人が囲む薪ストーブなどを設置予定とのことです。
カフェ運営については、地元のおばあちゃんや世界各地のシェフ、若手で腕試しをしたい人、などいろんな方々に地元食材を使った料理を居抜きの厨房で提供していただく「シェフ イン レジデンス」スタイルを考えているとのこと。
完成が楽しみですね!
<物件概要>
名称 | ヨンロッパ |
場所 | 徳島県那賀郡那賀町坂州字向エ155-3(旧木沢保育園) |
用途 | 交流拠点 |
整備・管理運営 | 那賀町 |
構造・規模 | 木造平屋建て |
HP | http://www.town.tokushima-naka.lg.jp/iju/ |
<取材時期> 2019年10月